素晴らしきリタイヤ盲導犬たち
私はこれまでに3頭のリタイヤ盲導犬と暮らして来ました。
1頭目は「エリー」
エリーの写真データが残ってないのでちょっとセピアです。
彼女が私を保護犬猫活動へ導いてくれたように思います。
ずっと犬と暮らしてきた私の知らなかった犬のすばらしさを教えてくれました。
2頭目の「はんな」
はんなは、とても美人でした。でもエリーに負けず劣らず頑固な自分を持っていました。
格之新は、はんなが大好きでどこにでも一緒に行きたがりました。
二枚目の写真は、ベットは二つあるのに格之新がはんなのベットに無理やり入っていって、
はんなが「おかあちゃんせまい…」と言ってるところです。
そして3頭目は「パーチェ」
パーチェは、ユーザーさんのご都合で7才で盲導犬を引退しました。
初めての男子!以前の2頭はメスでした。
エリーとはんなは、うちに来たその日からずっとうちの子だったように振る舞いました。
が、パーチェは、借りてきた猫のように申し訳なさそうに
「こちらで寝かせていただいてよろしいか」
「ほかの犬たちにご迷惑ではないですか」と言ってました。
それに
2階から降りてくるとそこにパーチェが…
お風呂からあがるとそこにパーチェが… でしたが、
決して待っていたとは言わず、
「あれっ偶然 待ってたわけじゃないよ」とすましてました。
私が帰っても「おかえりーっ」と狂喜乱舞するようなことは一度もありませんでした。
そんなパーチェを励ますためにみんなでいろんなことをしました。
ほかの犬が苦手な彼のため、できるだけ一緒にドッグランに行きました。
遊び・笑い・褒め・叱り 多くの時間を共有しました。
パーチェは、米アレルギーで私がこれまで最も信頼していたフードを
食べさせることができず試行錯誤に長い時間が掛かりました。
この試行錯誤で犬の食事について今までよりももっと深く考えるようになりました。
パーチェを介していろいろな方と知り合うことができました。
ユーザーさんのお知り合いで、ご自分の盲導犬を連れてパーチェに会いに来てくださった方
Puppy walkerさんとの出会い…
中部盲導犬協会へ迎えに行ったとき、それまでパーチェを預かってくれていた
パピーウォーカーさんが見送りに来てくださっていました。
パーチェの話をいろいろ伺いました。
正直、それで終わりだろうなぁと思っていましたが、
ずっとパーチェを気に掛け、このホームページを見てくださり、
脳腫瘍を患った犬の治療代にと寄付をしてくださったり…
思い切って、パーチェの里帰り…
いつまでたってもほかの犬への苦手が克服できなかったパーチェ、
その日、もし「帰りたくない」と言ったら置いて来ようと
当面のフードやら必需品をもって出掛けました。
お宅に着くとパーチェは、勝手知ったるでスタスタとおうちに入り、
お父さん、お母さん、ワルツと はしゃいでいました。
少々不安な気持ちで「さぁ 帰ろうか?」というとスッと車に乗り込みました。
うれしいという思いと、またパーチェに我慢を強いて暮らさせるのかという思いと
複雑でしたが帰りの車中、満面の笑顔で「楽しかったねぇ」と
私の一番好きな写真です。
私も相当な犬バカですが、何れ引けを取らない
犬バカのパピーウォーカーさんとの嬉しい交流は今も続いています。
パーチェも少しづつ他の犬たちとの距離を縮めて行きました。
一昨年夏ごろより咳をよくするようになり、心臓と肺の薬を飲み始め、
少しでも楽になるように携帯酸素を常備しました。
今年に入り、吐き戻すことが増えたため、フードは、ミキサーにかけてペースト状の食事にしました。
7月19日、とても辛そうなパーチェに、これは…と感じ
パピーウォーカーさんとパーチェは、ラインテレビ電話で話をしました。
そうして7月20日午前5時半過ぎ「ちょっと他の犬の世話をしてくるわ」というと
「もう少し側にいてほしい」とパーチェが初めて私に要求しました。
だんだんと間隔が長くなり止まっていくパーチェの心臓の音を彼の胸に顔を埋めて聞いていました。
2025年7月20日 午前6時 パーチェは、14年と2か月余りでその生涯を終えました。
犬を飼うということは、できる限りたくさんの時間を犬と過ごし、共に暮らしやすい環境を作って行くことだと思っています。
生活上の注意は、ホチキスの針、輪ゴム、ビニール、おやつの袋や
犬が食べられる大きさのものなど床に置かない落とさない、ゴミ箱は犬の届かない所へ、
犬が食べられないものを調理するときは食材を落とさないように、
シニアになって目が悪くなっても生活しやすいように水はいつも同じ場所置く、など沢山ありますが
こういうことは気がけていれば直に慣れます。
躾というと厳しい感じがしますが、
「やってはいけないこと」 「入ってはいけない場所」 「食べてはいけないもの」
そういうことを根気に教えていくと犬との暮らしの幅がずっと広がります。
良く話しかけると飼い主のいうことをよく聞く犬に育ちます。
どこに連れて行っても大丈夫ならどこにでも一緒に行けます。
ほかにやりたいことがあっても 観たいテレビがあっても 犬との時間を優先する。
何より自分の健康にも気をつけて、体調が悪いから散歩に行けない日がないようにする。
犬との暮らしを人が楽しんでいなければ、犬も楽しくありません。
大丈夫!どんなに私たちが努力して犬の幸せのために生きているとしても
その何百倍もの幸せを犬たちは返してくれます。
犬バカを 犬バカ に育ててくれた素晴らしきリタイヤ盲導犬たち
エリー はんな
パーチェ
しあわせをありがとう