ぼくの名前は、は・る・お あ~ぼくって柄やないな オレはオレやわ
オレは、十数年、同じ家で暮らしてたんや。
子犬のころは、ちやほやされたんやけど、
だんだんと散歩ものうなって、飯も少のうなって
なんでや!なんでや!って文句言うてたら
ある日、オレを段ボールに入れて捨てよった。
派出所の駐車場を選んだのは、誰かに早よ見つけてもらえるようにって
せめてもの親心ってやつか? なんじゃそりゃ!
ほんで、保健所、絶対に逃げられん場所やな そこに入れられたんや
あ~オレの一生ここで終わるんかってちょっと感じた。
2019年3月志摩保健所にて
ある日、いつもの兄ちゃんと知らんおばちゃんがやってきた。
おばちゃん見たときピーンと来たんや
こいつや!! 失敬 この人や!
そんで、これ以上出やんってぐらいの声で
「オレを迎えに来たんやろ?!」
「絶対そうや オレを迎えに来たんや!」って言うたんや
2日後におばちゃんがほんまに迎えに来た
うれしかったなあ
ほんでその日が晴れやったから
おばちゃんが、あんたの名前は晴朗 はるお
いつも晴れた日のように朗らかでいられるようにて
付けてくれたんや
おばちゃんがお母ちゃんになってふたり幸せに暮らすんやと思てたら
どうやな、一緒に十数匹の犬が居るがな
まあ、オレは別に犬の好き嫌いもないし、オレはオレやで構わんだけど
カールってじいさんだけは、いっつもケンカ売ってきよって
いつでも買うたるでって毎日言うてやった
飯はそこそこ、散歩も毎日 結構ええ
2019年10月
と思てたら
前庭疾患、人間でいう脳梗塞みたいなもんやな
それになってお母ちゃんにえらい世話かけたけど
ちょいちょいと乗り越えた
ははは ちょいちょいや
それから右に傾くようになったけど
スキップには磨きをかけたつもりや
2020年2月
2020年春
このままずうっと暮らせる思てたけど
オレにも寿命ちゅうやつがあったわけや
オレのこと はるおちゃん はるおちゃん て大事にしてくれたみんな
ありがとう
みんなのこと虹の橋のたもとで待ってるしな
時間たつとオレのこと忘れてしまうかもしれへんけど
スキップ と聞いたら オレのこと思い出してや
スキップの達人晴朗や スキップの達人晴朗やで
2021年8月28日 旅立つ前日